シトルリン(Citrulline)とはアミノ酸の一種で、尿素回路(オルニチン回路)を構成する化合物のひとつです。
血管を強くしなやかにし、血流を改善する働きがあるとして注目されている成分です。アミノ酸の中でも遊離アミノ酸という種類で、たんぱく質と結合せず、体内に一つの物質の状態で存在します。
1930年に日本でスイカの中から発見され、動物、特に哺乳類で広く存在しています。スイカから発見されたことから、そのスイカのラテン語「citrullus」から名付けられました。最近では、「スーパーアミノ酸」と呼ばれたりします。
オルニチンとカルバモイルリン酸の反応で、リン酸と共にシトルリンが生成されます。またシトルリンは、関節リウマチ患者の80%が、シトルリンを含むタンパク質に免疫反応を示すため、診断に使用されています。
シトルリンは、過酷な環境で育つ、生命力の強い野生のスイカに特に多く含まれます。野生のスイカは、強い乾燥や太陽の光、高温といった砂漠の厳しい環境に生えています。
その様な場所で生き抜くことができるのは、シトルリンをはじめとした抗酸化作用を持つ成分などを多数、体内に持っているためだと考えられています。
また、シトルリンは、私たちの体の中にも存在しています。シトルリンは体内に摂取するとアルギニンに変換され、そのアルギニンを生成する際に一酸化窒素が生成されます。
シトルリンは体内で生産できるアミノ酸ですが、加齢やストレスなどによって、生産能力が低下します。シトルリンが不足すると血管が硬くなり血行不良を起こします。
その結果、動脈硬化や心筋梗塞、高血圧やEDなど血管に関する病気、肥満や老化の助長を引き起こし、各臓器にも悪影響を及ぼします。
日本においては、2007年よりサプリメントなどの食品素材として使用が認められた成分ですが、海外では以前から使用されていました。
米国では血流改善、動脈硬化の予防、精力増強などを目的としたサプリメント、欧州でもサプリメントとして、また疲労回復の医薬品として販売されています。また、筋肉を増強したり運動量を高めるといった、アスリート向け商品にも用いられています。
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効果
シトルリンの効果は主に血管拡張効果と血行促進効果、厳密に言えばそれらの効果をもたらす一酸化炭素(NO)の生成によるものです。ここでは、それによって期待される効果を説明します。
- 血管拡張作用による血行促進
- 筋力の増強
- 疲労回復
- 美肌やむくみの改善
- 精力増強やEDに対する作用
- 集中力、記憶力向上
シトルリンの生成する一酸化炭素による血管拡張、血行促進作用
また、その効果による血管増強効果や動脈硬化の予防、改善
血行不良が原因による肩こりの改善、およびそれに起因する頭痛や腰痛の改善
成長ホルモンの分泌促進や血管増強効果による筋繊維の増強
筋力低下による血行不良が原因の冷え性を改善
筋力の増強による代謝の向上、およびそれによるダイエット効果
持久力の向上、血流改善や老廃物の排出による疲労回復
乳酸の減少効果
肝臓機能の向上、アンモニアの分解や排出による二日酔いの予防、改善
血管拡張、血行促進、老廃物の排出によるむくみの改善
皮膚の弾力やハリツヤに関わる「天然保湿因子」、血行促進、新陳代謝の向上などによる美肌効果やアンチエイジング効果
成長ホルモンの分泌促進による精力増強
血管拡張、血行促進による生活習慣病の予防、およびEDの改善(即効性は無い)
血流改善による脳の活性化、ボケ防止作用
また、それによる集中力や記憶力の向上
など
副作用
シトルリンは、スイカに含まれている成分のため、基本的には副作用はありません。しかし、体質や体調、体の状態によっては摂取を控えたほうが良い場合があります。
シトルリンは、血管拡張作用や血流改善作用があると言われています。このため、血管に疾患を持っている場合や血圧を変化させる薬を飲んでいる場合は摂取を控えた方が良いでしょう。その様な効果の高い食品との食べ合わせも、避けたほうが良いでしょう。
また、「シトルリン血症」という、血中のシトルリン濃度が高くなる疾患を持っている方も摂取しないようにしましょう。
シトルリン血症は、尿素回路に代謝異常が生じることで、血中のシトルリン濃度が高くなり発症します。生児から高齢者に至るまで幅広い年齢で発症し、また発症した時期やそれぞれの患者で症状は異なります。
この疾患の原因はまだ明確には判明していませんが、遺伝的な要因が大きいようです。なので、シトルリンを大量に摂取したからといって発症するわけではないようです。
その他、妊娠中の方も摂取は控えましょう。何らかの副作用が報告されているわけではありませんが、妊娠中は身体が非常にデリケートになっていますので気をつけるに越したことはありません。
普通に食品に含まれますので、基本的には何の問題もありませんが、上記に当てはまる方や心配な方は医師に相談するようにしましょう。ちなみに、濁った尿が出ることがありますが、代謝の促進により老廃物が排出されているだけなので、心配は要りません。
含まれる主な食品
シトルリンはスイカから発見され、その名前がスイカから取られた事からもわかるように、スイカに多く含まれています。栽培されたものよりも、野生のものの方が含まれる量が多くなっています。スイカの他には、メロンやキュウリなどの、ウリ科の食物に多く含まれています。
シトルリンの一日の摂取目安量は800~1000mgと言われています。
食品別含有量 (100gあたり) (シトルリン800mg相当の目安)
- スイカ 約180mg 1/7個
- メロン 約50mg 1.3個
- 冬瓜(とうがん) 約18mg 3.8個
- キュウリ 約9.6mg 56.5本
- ニガウリ 約16mg 24.2本
- ヘチマ 約57mg 7.7本
- クコの実 約34mg 2.3kg
- ニンニク 約3.9mg 290個
まとめ
シトルリンというと、最近では精力剤(男性用活力サプリメント)関連で有名ですが、精力増強以外にも様々な健康効果があると言われています。
効果としては、血液関連と成長ホルモンと、パッと見では少ないように思えますが、特に血液関連は、それだけで全身に様々な良い効果をもたらします。
摂取に関して、気をつけなければならない部分はありますが、非常に有用な成分と言われているので、積極的に摂取したいものです。
ただし、摂取を控えたほうが良い方に該当する方や、気になる点があったり心配なようなら医師に相談するようにしましょう。