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酒について
酒とは、エチルアルコール(アルコールの一種)が含まれた飲料の総称です。「お酒」という丁寧な呼び方もよく用いられ、「酒類」や「アルコール飲料」、またソフトドリンクに対して「ハードドリンク」とも呼ばれることもあります。
酒は人類史において、最古から存在する向精神薬の一つです。
人間には普遍的に「じぶん以外の存在になりたい」という潜在的願望があり、酒による酩酊はその願望を叶える有効な手段の一つだったとされています。しかし、酩酊は往々にして混乱や無秩序をもたらし、社会から忌避されてもいます。
一方で「酒は百薬の長」と言われ、一方では「きちがい水」と言われます。古来より酒は、社会にとって両価値的存在でした。
種類は多く、製造方法や原料等多種多様ですが、原材料から発酵によってエチルアルコールを生成することで共通しています。効用としては、ストレスの解消、コミュニケーションの円滑化、疲労回復などが挙げられます。
その反面ネガティブな影響も大きく、健康面ではアルコール依存、癌のリスク増加、社会的には暴力、事故、自殺などが挙げられます。
このように及ぼす影響が大きいため、また政府の税収確保のため、酒の製造および流通や販売は、多くの国において法律により規制されています。
宗教ごとにお酒の扱いは異なっており、儀式に用いられたり、神への捧げものであったり、また身を清め神との一体感を高めるための飲み物とされています。
また逆に、宗教によっては、飲酒を禁じているものもあります。
酒の歴史は非常に古く、有史(文字の歴史)以前から作られました。南米・アジア・アフリカのごく一部で現在も行われている、各種穀物を口に入れ噛み砕いた後、瓶や甕に吐き出し集め発酵を待つという原始的な酒造法が低アルコールながら有史以前に広まっており、古代日本でも巫女がその役を務め「醸す」の語源となっていると言う説があります。
この原始的な酒造法は、口内の唾液によってデンプンを糖へと変換し、その糖を酵母がアルコールに変換するという仕組みによって行われています。
また酒は、中国において殷・周のころ、国家の重要事である祝祭において重要な意味を持っており、ギリシャ・ローマでは、酒の神ディオニソス(ローマではバッカス)が信仰され、酒神を讃える祭りが行われていました。
その他に、酒は料理にも使われ、アルコール分を火で飛ばし様々な料理に、風味付けや肉や魚などの臭み消し等の用途で、みりん、日本酒、ワイン、ブランデー、ウィスキーなどが使用されます。
また、パンの原材料としてや、漬物、饅頭やカステラなどの和菓子、チョコレートやケーキなどの洋菓子にも使われます。
これらに使われている酒は基本的にはアルコール分を火で飛ばしてますが、奈良漬けやブランデー・ケーキ、中のシロップにワインやブランデーが使われている高級チョコレートなどには風味のため若干アルコール分が残してある場合もあります。
酒の人体への影響
酒は、主に摂取量を原因として、良い効果も悪い効果も発揮します。ここでは、それらを個別に解説します。
好影響
- 食欲の増進
- ストレスの解消
- コミュニケーションの円滑化
- 疲労回復
- 死亡率の低下
個人差はあるが、少量の飲酒は胃液の分泌が盛んにし、消化を助け、食欲を増進する
ほろ酔い程度の飲酒により、行動欲求を抑圧している精神的な緊張を和らげ、気分がリラックスする事によりストレスの解消につながる
適量のアルコールを摂取すると、思考や知覚、運動、記憶などをつかさどっている大脳皮質の抑制が解放される
それによって緊張がほぐれ、コミュニケーションがより陽気で快活になり、会話が活発になる
少量の飲酒は、血管拡張、血行促進作用があり、その結果、体を温め、疲労回復の効果があがる
また、利尿作用もあり、疲労のもとになる老廃物の排出を促進する
日本人の場合、全くアルコールを飲まない場合より、一日あたりの純アルコール摂取量として、男性の場合10~19g、女性の場合微量~9gのアルコールを習慣的に摂取した場合、最も死亡率が低くなるとされている
※しかし、これらの量を超えてアルコールを摂取し続けた場合、全くアルコールを飲まないのと同じか、それ以上に死亡率が高まると言われている
など
基本的に、これらの身体にとっての良い効果は、少量もしくは適量の飲酒の場合です。過剰な摂取や、それを長期間続けた場合は下記の様な悪影響を及ぼすと言われています。
悪影響
- アルコール依存症
- ガン
- 脳の萎縮
- 急性アルコール中毒
- 肝臓疾患
- 消化管系疾患
- 心臓・血管系疾患
長期にわたり多量の飲酒をすると、アルコールに対する依存を形成する、精神疾患を発症する
この依存症の症状には、精神依存と身体依存とがある
精神依存は、飲酒への強烈な欲求を持つ様になり、飲酒のコントロールがきかず節酒ができない状態となる
また、精神的身体的問題が悪化しているにもかかわらず、断酒できなくなる、なども挙げられる
身体依存は、アルコールが体から切れてくる事で、指の震えが起きたり、発汗症状などの禁断症状が現れたりする
また、以前と比べ、酔うために必要な酒量が増大する、などが挙げられる
WHO(世界保健機関)では、飲酒は口腔ガン、咽頭ガン、喉頭ガン、食道ガン、肝臓ガン、大腸ガンと女性の乳ガンの原因となるとして注意喚起を行っている
アルコールそのものに発ガン性があり、口腔ガン、咽頭ガン、食道ガンは一人に複数発生する傾向がある
特に、いわゆる「酒に弱い人」には、この多発ガンが多く見られる
男性に発生した、ガン全体の約13%が、週300g以上の飲酒によるものだという調査もある様である
アルコールには脳の萎縮作用がある
基本的には、大量摂取を長期間行った場合の作用と考えられていたが、近年では、アルコールは少量であっても、脳を萎縮させる効果があるという研究結果が報告されている
大量に摂取するほど、飲酒期間が長いほど萎縮作用は大きくなる
また、脳に対して直接的な障害を与え、アルコール性認知症や小脳変性症を引き起こす
その他、中枢神経の機能維持に必要なビタミンの吸収障害を引き起こす
短時間に多量のアルコール(エタノール)を摂取することによって急性アルコール中毒を発症する
これはアルコールによる、脳の麻痺が原因である
アルコールを摂取すると、麻痺は大脳辺縁部から呼吸や心臓の働きを制御する脳幹部にまで進み、最終的には生命維持にかかわる脳の中枢部分までもを麻痺させてしまい、呼吸機能や心拍機能を停止させて死に至る
血中アルコール濃度が0.4%を超えた場合、1~2時間で約半数が死亡する
急性アルコール中毒患者の45%は20代の若者で、2/3が男性、1/3が女性である
体内に入ったアルコールの90%以上は肝臓で分解される為、長年の飲酒により肝臓に負担がかかる
その結果、肝臓に脂肪がたまる脂肪肝、そして肝炎になり、最後には肝硬変へと進行する
アルコールは、食道炎、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などになる危険が増加する
また、栄養吸収障害を引き起こす
飲酒によって血圧が上がる事で高血圧になり、動脈硬化を引き起こす
高血圧状態が長期間続くと、心臓に負担がかかり、心筋症などの心臓疾患を発症する
また、脳卒中にもかかりやすくなる
など
精力減退との関係
飲酒と精力の関係ですが、これは量が関係してきます。上で酒の人体への影響について記載しました。そして量によって、効果が良いものなのか悪いものなのかが変化することも記載しましたが、これは精力にも関係してくるのです。
結論から言うと、少量の飲酒ならば精力に良い効果をもたらし、大量に飲むと逆効果になります。
少量の飲酒を行うと、男性ホルモンの分泌促進や性欲の増大、血行促進による勃起能力の向上、リラックス効果による心理的EDの改善などによって精力は増大すると言われています。
しかし大量の飲酒を行うと、神経の麻痺が大きくなる事によって感度が鈍くなり、勃起の妨げになったり中折れの原因になります。
感度が鈍くなることは性交に対する集中を妨げ、さらに、快感を感じにくくなり射精を妨げることにもつながります。また、大脳に対して過度の抑制作用が働く為、性的な興奮を妨げてしまいます。
さらに、大量のアルコールの分解のために、肝臓で大量のビタミンやミネラルが消費されます。これらの栄養素は、性に関するホルモンや性欲、性的興奮や精子の生成などの精力や性機能にとって非常に重要なものです。
大量の飲酒によってそれらの栄養が不足状態に陥ります。その結果、精力減退症状が現れてしまいます。
また、長期的な大量の飲酒は、肝臓に負担をかけ、弱らせてしまいます。肝機能が低下すると、体内の栄養補給と栄養消費するバランスが崩れてしまい、それが食欲不振や栄養不足、体力低下につながります。
その結果、生殖器官の機能を著しく低下させてしまい、精力が弱まってしまう遠因となります。さらに、精力剤(男性用活力サプリメント)などを使用して精力回復に役立つ成分を摂取していても、ほとんどがアルコールの分解の為に消費されてしまい、充分な効果が得られないという可能性もあります。
飲酒などによって肝機能の低下している人は、精力減退の症状が他の人よりも現れやすい傾向にあると言われています。アルコール依存症の人にED(勃起不全)が多い理由はこれらの事が原因だ、とも言われているようです。
まとめ
飲酒は精力に限らず、身体にとって良い効果も悪い効果も持っています。タバコなどとは違い、使い方さえ間違えなければ「百薬の長」の名の通り、非常に様々な恩恵を与えてくれます。
酒は世界中に様々な種類が存在し、長い歴史を持ち、多くの人々に愛され、人類と共に永きに渡り発展してきた文化です。ただ単に、「身体に悪い」と排除する事を考えるのではなく、上手に利用し、付き合っていきましょう。