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ストレス
ストレス(英:Stress)とは、生活上のプレッシャーおよび、それを感じたときの感覚のことです。オックスフォード英語辞典では、英語のstressは中世の言葉である、苦痛や苦悩を意味するDistressが短くなった単語と説明されています。
ストレスの概念は一般に、1930年代のハンス・セリエの研究に起源を持つとされており、それ以来、ストレスが健康に影響を与える研究が行われてきたとされています。セリエは、ストレスを引き起きおこしているものを、ストレッサーとして造語して区別しました。
ストレッサーは、その外的刺激の種類から物理的ストレッサー(寒冷、騒音、放射線など)、化学的ストレッサー(酸素、薬物など)、生物的ストレッサー(炎症、感染)、心理的ストレッサー(怒り、不安など)に分類されます。
このストレッサーに対する対処を、ストレス対処(またはストレスコーピング、ストレス・マネジメント、Stress Management)といい、ストレッサーを処理するために意識的に行われる行動及び思考のこと指します。
これには「個人と環境の相互作用的な過程であるとする対処戦略」という考え方があり、ストレッサーの解決を目指して情報収集や再検討を通じて解決を図る問題焦点型対処と、ストレッサーが起因する情動反応に注目した攻撃行動や問題を忘却するような情動焦点型対処に大別します。
またパーソナリティ特性であるとする考え方もあります。
ストレッサーが作用した際、生体は刺激の種類に応じた特異的反応と刺激の種類とは無関係な一連の非特異的生体反応(ストレス反応)を引き起こします。
ストレス反応とはホメオスタシス(恒常性)によって、一定に保たれている生体の諸バランスが崩れた状態(ストレス状態)から回復する際に生じる反応をいいます。
ストレスには生体的に有益である快ストレスと不利益である不快ストレスの2種類があります。これらのストレスが適度な量だけ存在しなければ、本来的に有する適応性が失われてしまうために適切なストレスが必要であるとされます。
しかし過剰なストレスによってバランスが失われてしまう場合があるため、様々なストレス反応が生じます。ストレスがある一定の限界を超えてしまうと、そのせいで身体や心に摩耗が生じ、この摩耗の事をアロスタティック負荷と呼びます。
アメリカでの、成人約30000人を対象とした8年間の追跡調査では、ストレスが健康に良くないと認識していない人の死亡率は低下していませんでした。
健康心理学者のケリー・マクゴニガルはこうした研究を紹介し、ストレスが多いと死亡するリスクが43%増加するが、それはストレスが健康に害があると認識している場合であると説明しました。
つまり、「ストレスが健康に影響を与える」と認識している場合は死亡率が43%高まり、認識していない場合はそうではないということです。
また、ケリーは、科学的にはストレスの捉え方次第でストレスに対する体の反応が変わる研究を紹介しています。
例えば、ストレスを感じると心臓がどきどきするが、これを「体に悪い」とネガティブにとらえると実際に血管が収縮し、心不全などの原因となります。
ところが、心臓がどきどきするのは「新鮮な血液を心臓にどんどん送り込んでくれているのだ」と肯定的にとらえると、血管が収縮しないことが分かりました。
すなわちストレスは捉え方により、健康に全く害がないと主張しています。
このように、ストレスに対する認識の影響の研究も進展しています。
『現代社会とストレス』1976年版の第1部では、全身適応症候群を提唱し、はじめに警告反応として副腎皮質、リンパ管、腸内腫瘍がの3徴候を示し、次に抵抗期では徴候が無くなり、最後に生体が崩壊するとした概念が提唱されました。
第2部では、ストレスという用語についてであり、用語の普及と共に用語が混乱したため、「生体組織内に誘起された、あらゆる変化からなる特異的な症候群の示す状態である」と定義しました。
また、第5部では、ストレスの研究から人生について割かれており、自分のストレスの度合いを知ることで他者を同じように愛することができ、「愛他的利己愛」の中に答えがあるとしました。
ストレスの人体への影響
ストレスには、身体に良い影響を与える快ストレスと、良くない影響を与える不快ストレスがあります。
快ストレスの影響
- 心拍数増加
- 呼吸数増加
- 瞳孔拡大
- 筋肉緊張
- 唾液分泌抑制
- 胃の運動抑制
- アドレナリン分泌促進
など
これらの作用によって、身体が活動するモードになります。身体をこれから動かす、という場合には有効な効果と言えます。
不快ストレスの影響
不快ストレスの影響としては、
呼吸や脈拍の乱れ | 血圧上昇 |
体重減少・増加 | 肩こり |
疲労感 | 倦怠感 |
不眠 | 食欲不振・過食 |
胃もたれ |
などを引き起こします。それらの症状が重くなったり長期的になると、さらに身体や心に、
肩こり | 目の疲れ |
肌荒れ | 脱毛 |
頭痛 | 腰痛 |
自律神経の乱れ | 不安 |
落ち込み | イライラ |
怒り | 気力や集中力の低下 |
絶望感 |
などを引き起こし、その結果、生活習慣病や自律神経失調症を引き起こします。また、生活習慣病や自律神経失調症などの他にも
アルコール依存症 | PTSD(心的外傷後ストレス障害) |
パニック障害 | 不妊症やうつ病 |
気管支喘息 | 過換気症候群 |
高血圧症 | 冠動脈疾患 |
胃や十二指腸潰瘍 | 過敏性腸症候群(IBS) |
筋収縮性頭痛 | 顔面神経麻痺 |
アトピー性皮膚炎 | 円形脱毛症 |
夜尿症 | 心因性勃起障害(ED) |
眼精疲労 |
などを引き起こすといわれています。
精力減退との関係
現代はストレス社会と言われるほど、ストレスの多い環境で、ほとんどの人が何かしらのストレスを抱えて生活しています。ストレスが身体に与える影響は様々なものがありますが、ここではその影響の中でも、精力に関するものを記載します。
ストレスの影響には、血流の悪化により栄養素や老廃物が流れにくくなったり、疲労の蓄積などがあります。血流が悪くなると、勃起しにくくなったり、中折れや全く勃起しない(ED)などの影響を引き起こします。
また、栄養素には精力に関係したホルモンや精子の生成などに関わっている物も多いため、それらが不足すると必然的に精力は減退します。
さらには、老廃物の排出が悪くなったり、疲労などが蓄積すると、体力や気持ちの減退を招き、性交に必要な体力の不足や、そもそも性欲がわかないという状態を引き起こします。
また、ストレスは自律神経の働きを悪化させてしまいます。自立神経の働きが悪くなると、体内のホルモンバランスが崩れ、その結果、性欲や勃起力を弱めてしまいます。
他にもストレスは、やる気の低下や落ち込み、トラウマ(PTSD)などによって、性欲がわかない、勃起しない、中折れや集中できないなどの、精神的な要因での精力の減退や勃起障害(心因性勃起障害)などを引き起こします。
まとめ
現代に生きる我々の周りには非常に多くのストレスが存在します。仕事、人間関係、将来への不安などの精神的なものから、騒音、暑さ、寒さ、病気などの外的、身体的なものまで、挙げればキリがありません。
多少のストレスは身体に良い影響を与えますが、ストレス社会とまで言われるような現代に生きる我々は、ストレスを減らす事だけ考えたほうが良いと思います。
ストレスは精力の減退に関わっていますが、それ以外にも、健康に与える悪影響が多く存在します。このようなストレスをなるべく受けない、溜め込まないようにして、身体的、精神的にも健康に過ごしていきたいものです。