あなたは射精コントロールというものを知っていますか?読んで字のごとく射精をコントロールする事、もっと詳しく言うと、射精する「タイミング」をコントロールする事を指します。
コントロールというのは自由自在に操ること、つまり遅くも早くも自分の好きなタイミングを指定できるという事です。
しかし、射精コントロールというと一般的には射精までの時間を、例えば1分から5分に、5分から10分、に伸ばす事を指します。つまり、自由に任意のタイミングで射精できる能力ではなく少しでも射精を遅くする事なのです。
そしてこの能力が必要な状況とは、そう、早漏です。ゆえに、射精コントロールとは早漏を改善することなのです。ここではその射精コントロールについてお話します。
目次
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早漏とは
さきほど射精コントロールとは早漏対策だといいました。
では早漏とは何でしょうか?
この早漏という単語を知らない人はほとんどいないでしょう。しかしそれは「射精するのが早い事」という程度の認識がほとんどだと思われます。私もそうでした。
この早漏とは、本来は、オーガズム(いわゆる「イク」事)に至る前に射精してしまうこと、つまりオーガズムと射精の順番が逆になる事を指していました。しかし、現在はこの意味で用いられることはほぼありません。
現在の定義では、「セックスの際にパートナーの女性が性的に満足しないうちに男性が射精してしまうこと」とされています。
具体的には、「膣内に挿入後、30秒間射精を我慢できない状態」や「挿入後1分、または2分で射精してしまう状態」、または「三こすり半(みこすりはん)」などの言葉に代表されるように、「数回動かしただけで射精してしまう」状態といわれています。
しかしこの具体例は定義がバラバラであるため、あくまでも例としてであり、現代的な定義としては「射精までの時間」が重要なのではなく、「パートナーである女性が満足できるまで射精が持たない事」が重要ということだと思われます。
この定義は女性側に立った意見だと思われるかも知れませんが、他に定義づけのしようがないと思われます。何故なら早漏が問題になるのは、女性とのセックスにおいて、つまりパートナーがいる場面でだからです。
一人での性行為といえばオナニーですが、オナニーで早漏だからといって、誰に迷惑をかけるわけではないので困ることはありません。ですがセックスでは、相手との関係性において弊害が発生します。
つまり早漏というコンプレックスは、相手がいるからこそ発生するわけです。そして相手に対して発生し、それを受けた相手の対応が弊害として発生しているので、定義としての基準が相手側に委ねられるのは当然といえるのではないでしょうか。
また早漏は、相手との関係の悪化以外には、あまり深刻な弊害がありません。
性機能障害としての早漏は膣内射精が行える場合も多く、仮にそれが出来なくても人工授精も可能なため、男性不妊としてあまり深刻な問題とはならない場合がほとんどです。医師からの治療を進められる場合も、大抵が患者の生活の充足感が低下することを危惧した場合です。
原因としても大半が心因性、つまり精神的なものが多く、身体機能に問題がない場合がほとんどです。ただし身体的な原因が全くないわけではありません。包茎による刺激への過敏な反応、慢性尿道炎、前立腺の慢性的な炎症などの器質的なものが原因の場合もあります。
射精コントロールの方法
さて、その射精コントロールですがどのような方法があるのでしょう。
以下が一般的に言われている方法です。
- スタート・ストップ法
- セマンズ法
- 麻酔効果のあるゼリーもしくは軟膏
- 早漏対策が施されたコンドームの使用
- オナニー方法を改善する
- 体位に気をつける
- 意識の分散
- 呼吸法
では1つずつ見ていきましょう。
スタート・ストップ法
これは古くから行われており高い知名度を誇る方法です。
やり方としては、
- オナニーをする
- 射精しそうになったら刺激を止め、射精しそうな感覚がおさまるまで待つ
- これを3~5回程度繰り返した後、射精する
- これが出来るようになったら、今度はお風呂場などの濡れた環境でこれを行う
※あくまで射精感が出たところまでで、射精寸前の状態(寸止め)まで刺激してはダメ
※濡れた環境の方が、より実際の膣内に近いため
となります。
この方法の利点は自宅で一人で出来ることです。また、射精するのを無理やり止めるわけではないので、危険性がない事です。
さらには、PC筋(骨盤底筋群)を鍛える事もできます。PC筋を鍛えると、勃起力の向上や勃起の維持力の向上効果が期待できます。
欠点としては、快感に耐える忍耐力が必要な事、即効性は無く、効果がでるまでに時間がかかり、継続して行わなければいけない事です。
セマンズ法
セマンズ法はパートナーの協力が必要ですが、自宅で出来る簡便な治療法の一つです。学習理論に基づいた心理療法、行動療法に属する方法です。スタート・ストップ法の応用で、より実践的な状況で行います。
方法は、
- パートナーに手でペニスを刺激してもらう
- 射精しそうになったら刺激を止めてもらい、射精しそうな感覚がおさまるまで待つ
- これを3~5回程繰り返し、その後射精する
- これが出来るようになったら、今度はローションを使って同じ事を行う
- これも出来るようになったら、今度は騎乗位の体位で挿入し、パートナーに動いてもらい、同じ事を行う
- さらにこれが出来るようになったら側臥位で、さらに出来るようになれば正常位で行う
※スタート・ストップ法と同じように寸止めまでは行かない
となります。
これは、実際のセックスにより近い状況で行える方法です。また、パートナーに手伝ってもらうため、パートナーから受ける刺激や、心理的にも慣れる事ができます。これにより、心理的な原因が大半を占めるといわれる早漏の改善が見込めます。
麻酔効果のある塗り薬やスプレーの使用
これは麻痺効果のある成分を配合した塗り薬やスプレーを使用する方法です。成分による微弱な麻痺効果でペニス表面の皮膚感覚を鈍らせ、刺激を軽減します。
基本的な使い方は、セックスの30分~1時間程前に自分のペニスに使用し、セックスの前にふき取ります。しかしこれは一般的な使い方なので、使用方法については製品の説明をよく読み正しく使用しましょう。
この方法の欠点は、感覚が鈍るため、セックスの快感が薄れる場合があることです。それに伴い、セックスによる性的な喜びや満足感が薄れる可能性があります。
要するに、早漏は改善されるかも知れませんが、あまり気持ちよくないかも知れませんよという事です。
早漏対策が施されたコンドームの使用
子作りする場合以外、セックスの際にはコンドームを使用すると思いますが、そのコンドームには早漏用に対策が施された物があります。セックスの際にそれを使用するという方法です。
一般的なコンドームの厚みは0.03mmですが、メーカーから早漏用の物として厚さが大きい物や、感度を鈍らせるために潤滑油やゼリーが施されているものがあります。例えば、ニューゴクアツ(オカモト)や009ドット(相模ゴム)などでしょうか。
こちらも欠点としては、感覚が鈍くなるために快感が薄れる可能性があることです。
オナニー方法を改善する
パートナーとセックスする以外での性行為といえばオナニーですが、そのオナニーの仕方によって早漏になる場合があります。その場合はオナニーを改善する事で早漏が改善する場合があります。
オナニーは手で行うのが基本的かと思いますが、手の感覚と女性の膣内の感覚は違います。つまり、セックスをすると膣によって普段とは違う刺激が与えられるため、射精が早くなってしまうという事です。という事は、普段から女性の膣に近い刺激に慣れていれば、改善される可能性があります。
オナホールは女性の膣内に似せて作られている事が多いため、手でするオナニーよりもより本物に近いリアルな感覚でオナニーする事が出来ます。これでオナニーする事により、本物に近い感覚に慣れることができ、早漏の改善が期待できるのです。
ただし、気をつけないといけないのは、より本物に近いものを選ぶという事です。オナホールにも、本物の膣内の感覚とは違い、刺激の強いものもあります。そういったものは効果がありませんので、なるべく本物の感覚に近いものを選びましょう。
※オナニー方法やオナホールについてはあなたの方法は大丈夫?正しいオナニーと間違ったオナニーの記事で詳しく紹介しています。
体位に気をつける
セックスには様々な姿勢、いわゆる体位というものがあります。そしてその体位の中には射精しやすい体位というものがあります。そのような体位でのセックスは射精までの時間が早くなってしまうため、早漏の場合はそのような体位を避ける事で、射精を遅らせる事が出来ます。
射精しやすい体位は、
- 正常位
- 騎乗位
- 立ち後背位(バック)
と言われています。
これらは間違ったオナニーの「足ピンオナニー」と同じように体に力が入れやすいため、射精しやすいと言われています。なるべく避けるようにしましょう。
逆に射精しにくい体位は、
- 対面上体立位
- 座位
と言われています。
対面上体立位はあまり聞きなれませんが簡単に言うと、正常位の上体から男性が膝立ちになり、上半身を垂直に立てた状態の体位です。この体位は射精しにくく、早漏に効果的な体位として有名です。
しかし、これに限らずどの体位にも言えることですが、激しく動かしてはいけません。せっかくの射精しにくい体位でも、激しく動かしてしまうと刺激が強くなり、意味がなくなってしまいます。
意識の分散
これは集中力を分散させる事により刺激や射精感の影響を緩和するという方法です。
人間には集中力がありますが、集中する事によりそれの影響を強く受けてしまいます。この集中のしやすさには男女で差があるといわれており、男性は一つの事に集中しやすく、女性は様々な事を同時に考えるため、一つの事に集中しにくいと言われています。
これは一説には、体内の性ホルモンの分泌量が違うせいだと言われています。つまり、男性はセックス中は、セックスに集中しやすく、そのためオーガズムに達しやすいという事です。この集中を分散させる事で、達しにくくするというのがこの方法です。
具体的には、セックス中に別の事を考えるのですが、個人的にはあまりオススメはしません。
何故なら楽しくないからです。
せっかく愛する人とセックスをしているのに、他のことを考えていたら楽しくないですよね?相手からしても、あまりいい気分はしないと思います。考える内容を工夫すればよいかも知れませんが、個人的にはあまり取りたくないかな、と思う方法です。
呼吸法
これは呼吸の仕方によって早漏の対策を行うというものです。これはアダム徳永さんも提唱している方法です。
アダム徳永さんとは有名なセックスセラピストで、多くの著書や教材を出版しており、研究所を設立してセックスに関する理念やメソッドを研究したりしている方です。
※詳しくはこちら→アダム徳永(Wikipedia)
人間には自律神経という無意識で働く神経があり、自律神経には交感神経と副交感神経があります。この2つは電気のプラスとマイナスのように対になっており、状況によってどちらが強いか(優位か)が入れ替わってバランスを保っています。
この自律神経のおかげで内臓や血管などが勝手に働いてくれているのですが、これが射精にも関係しています。
交感神経は興奮や緊張時、副交感神経はリラックス時に優位になりますが、勃起時には副交感神経が、射精時には交感神経が優位になります。つまり交感神経が優位になると射精しやすいということですね。
逆にいえば、「交感神経を劣位にする=副交感神経を優位に立たせる」事ができれば、射精しにくくなるという事です。
これを呼吸によって行おうというのがこの方法です。
呼吸には「吸う」と「吐く」という二つの工程が存在しますが、息を「吸う」時は交感神経が働きやすくなり、「吐く」時は副交感神経が働きやすくなるといわれています。
つまり息を吐けばいいのですが、ずっと「吐く」だけを続ける事は出来ません。息を吸わないと死んでしまいます。ではどうするのかというと、「なるべく吸う時間を短くして、吐く時間を長くすればいい」のです。
具体的なトレーニング方法はというと、
- 背筋をピンとまっすぐにする
- 鼻から2秒間で、出来るだけ深く息を吸う
- 鼻から10秒間かけて、ゆっくりと息を吐く
- これを繰り返して体に覚えこませる
これだけです。
吸う時間2秒、吐く時間10秒、吸う時間を短くして吐く時間が長くなっていますよね。実際のセックスでこの呼吸法をしていたら不自然かも知れませんが、出来るだけ短く息を吸い長く吐く事は心がけましょう。
ここで注意なのですが、トレーニングの際も実際のセックスの際も、呼吸は鼻呼吸で行いましょう。
ヨガやピラティスなど、世の中には呼吸法を重視しているものがたくさんありますが、それぞれで推奨している呼吸法が違います。
例えばヨガは鼻呼吸を推奨していますし、ピラティスは鼻から吸い口から吐く事を推奨しています。筋トレなどは、吸うのはどちらでもいいのですが、吐くのは口からとなっています。
この早漏対策の呼吸法は鼻呼吸(鼻で吸い、鼻で吐く)を推奨していますので、行う時は鼻呼吸で行いましょう。
止めた方がいい方法
射精コントロール方法は様々なものがあります。試しにネットで調べてみると、実にたくさんあるのがわかると思います。
しかし、その中にはやらない方がいいと思われる方法も存在します。以下のものは何らかの弊害が発生する可能性があるといわれている方法です。
- 寸止め
- スクイーズ法
- コンドームを重ねて使用する
- あらかじめオナニーで射精しておく
- 抗うつ剤の使用
こちらも1つずつ見てみましょう。
寸止め
これは射精コントロール法としてよく挙がってくる方法です。寸止めを繰り返す事によって射精を我慢できるようになるというものですが、この方法には危険性があるといわれています。
その危険性とは、精液が精管(精液を送り出す細い管)や尿道に逆流するというものです。これを逆行性射精といいます。
尿道は普通、精液などが逆流しないように弁が蓋をしていますが、寸止めを繰り返すとこの弁が正常に働かなくなり、膀胱に逆流するといわれています。
逆流しても特に害はないと言われていますが、逆流する事によりペニスから射精される精液が減り男性不妊の原因になると言われています。
また、信憑性は定かではありませんが、前立腺炎や尿道炎になるという事も言われているようなので、もし心配なら寸止めは止めておいた方がよいでしょう。
スクイーズ法
スクイーズ法とは早漏治療の方法の一つです。一人でも出来ますが、パートナーがいて協力してくれる場合は、協力してもらった方がいいでしょう。
方法としては、
- オナニーをする(パートナーがいる場合は手などでやってもらう)
- 射精しそうになったら亀頭の根元部分(カリの部分)を、10秒~20秒ほど親指と人差し指で上下を抑えて射精を我慢する
- これを何度も繰り返します
というものです。
これの何が危険なのかというと、要するに寸止めと同じ理由です。射精寸前の状態のペニスを圧迫し、尿道を塞ぐ事によって無理やり射精を止めています。
寸止めと同じような状況です。という事は寸止めと同じような事を引き起こす可能性があります。一応医学的に行われている方法ですが、もし男性不妊などが心配なのであれば止めておくか、医師に相談しましょう。
コンドームを重ねて使用する
これは早漏対策に厚手のコンドームを使う方法と仕組み的には同じです。しかしこちらは、通常のコンドームを重ね着けしているので、コンドームが破損してしまう可能性があります。
早漏対策と同時に避妊目的でコンドームを使用している場合、破損により避妊できない可能性があります。性病対策や計画的な人生設計のためにも、重ね着けは止めておいた方がよいでしょう。
あらかじめオナニーで射精しておく
これは本人の精力にもよりますが、セックスの前にあらかじめオナニーなどで射精していると、いざ本番という時に勃起しなかったり、一時的にED(勃起不全)の様な状態になる可能性があります。
また、事前に一度射精しているので、セックスでの射精で精液の量が少なかったり、射精できない可能性があります。
抗うつ剤の使用
これはもう言わずもがな、な気がしますね。
抗うつ剤は現在、早漏に対する最も有効な治療薬とされています。抗うつ剤として使われている、ダポキセチンという成分が早漏に効果があるという事が判明し、早漏改善薬としても開発されています。
ダポキセチンには脳中にあるセロトニン増加シナプスの働きを助けてセロトニン濃度を増やす働きがあり、それによって脳の興奮を一定に抑える効果があるといわれています。
それにより早漏防止に効果があるとされ、治験では半数以上の人が効果を実感し、また射精までの時間が普段の約3倍にまで伸びたとされています。
しかし、これをちゃんと医師から処方され、用法容量の説明をちゃんと受けた上で正しく使用するのなら問題はないのですが、絶対に素人判断で適当に飲んではいけません。
抗うつ剤は風邪薬のように、自分勝手に気軽に飲むものではありません。(風邪薬も気軽に飲むものではありませんが、、、)
重い副作用が発生する場合もありますので、使用したい場合は必ず医師に相談しましょう。
まとめ
さて、長々と書いてきましたが、いかがだったでしょうか。早漏をコンプレックスに感じて、悩んでいらっしゃる方は結構多いように思います。(私の知り合いにもいました)そういった方々にとって、少しでもお役に立てたなら良かったのですが。
世の中には精力関係に限らず様々な悩みがあり、その解決方法も非常にたくさんあります。その中には効果的なものもあれば、ED治療薬(バイアグラなど)のように、使用方法を間違えれば危険のある物も存在します。そういったものをしっかりと見極めて、自分にとって有効なものとして活用していきましょう。